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カテゴリ:超偉人伝説( 3 )

超偉人伝説②~寿司男~


太古の記憶が蘇った。

それくらい衝撃の出会いだった。

久々に、僕の脳内記録の一部となるほどの偉人が現れたのである。





以前、私はこのブログの中で、"超偉人伝説"というカテゴリーを築いた。

自身の長年の電車通勤経験とそこで培われた人間観察力によって、発見した様々な偉人を文献に記すためのもの。

その第1弾として"しなる男"という主題で記述させていただいた。

しかし、海外旅行、国内旅行に次ぐ3番目のカテゴリーとして重要視して作成してみたまでは良かったものの、

自分の怠惰な性格が災いし、長年顧みられることなく今日まで眠ることとなっていた。





そんな廃れたカテゴリーに差し込んだ一筋の光。

あまりの衝撃的な出会い故に再び筆を執らざるを得ない状況にまで来た、この偉人を諸君に紹介したい。

これから先は、つい先日起こったまぎれもない事実。

現実を受け止める覚悟のある者だけに読んでいただきたい。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



平日、夕暮れ時のJR立花駅。

言わずと知れた日本屈指のスラム街こと尼崎市の中でも外れにあるこの駅。

もちろん、快速電車など止まらない。

一瞬にも躊躇することすら見せない、過ぎゆく快速電車に羨望の眼差しを送りながらプラットホームのベンチに座る。

各駅停車が来るまでにはまだ少し時間がある。

急ぐこともない。

こんな時の電車の待ち時間は、嫌いではない。





恐らく、油断していた。

今思えば、仕事上がりで呆けた顔で電車を待つ自分に下った天罰だったのかもしれない。

心地よい、そして優しい香りのする秋風に便乗してやってきた、

"生臭く、不快な"臭い。

あまりの衝撃故に、本能的に風上に目を向けた。





いた。

臭源、寿司男。

スーパーのレジ袋に、およそ10貫入りを4パック、携えむさぼりついている。

年齢にして、24,5歳。

つまりは私と同年代ということになる。

ごくごく普通の青年に見えなくもない。

天性の偉人というものは、一見しただけではわからないものである。





よくよく観察してみると、足元には巨大な黒いゴミ袋までもある。

環境に優しくと叫ばれる現世ではすでに化石化したといってもいい、あのドス黒いゴミ袋である。

たとえ品質が落ちているとしても、たかが寿司4パック程では発せない強烈な生臭さの正体はあの闇の袋の中にあるのだろうか?

無造作にねじられただけの黒袋の上部を開けたい衝動に駆られる。





そんなこんなしているうちに、私が乗るべき電車はやってきた。

ホームで待つ人々がドア付近に集まりだす。

周囲の状況を全く見ることすらせず寿司に貪りつく様子を見ると

どうやら彼は乗らないようだ。

心の中に安堵が広がった。





しかし、僕の考えは甘かった。

ドアが閉まる直前に、彼は飛び乗るようにして同じ車両に乗って来たのだ。

右手には寿司4パックのレジ袋、左手には巨大な黒いゴミ袋を携えて。

車内の空気が一変した。

雰囲気という意味でも、実質的な臭いの意味でも。





車内は比較的空いていた。

そして、その車両の乗客のすべてが同じ考えを持っていた、と思う。

彼はどこに座るのか?、と。





嫌な予感とは的中するも。

僕は、こういうときのくじ運が非常に弱い。

むしろ、強いと言うべきか。

諸君がすでにご察しの通り、彼は僕の隣に座ったのだ。





よし、さっきよりより近い距離で観察できるぞ、

と少し思ってしまった自分のプラス思考に幻滅しながらも、

心の奥底から湧いてくる好奇心には逆らえないのが性というもの。

電車に乗ってからも依然として寿司を食い続ける彼にある意味尊敬しつつ、観察を続けた。





しかし、世の中はそう甘くない。

ここで非常の事態に気付いた。

というか、気付かざるを得なかった。





電車=密室空間=(寿司の生臭さ)×(臭い充満定数)

の方程式。

正直、目眩すら感じたあの臭い。

やはり、あの黒い闇袋の中にただならぬ物が入っているとしか思えない。

もう耐えるに堪えれず口だけで息を吸うことに決めたのだが、

同じ寿司を食ってるようなあの誰もが感じたことがあるような不快感が自分の中を駆け巡る。

なんだろう、このキモチ。





各駅停車の電車で、次駅がこんなにも遠く感じたのは金輪際ないだろう。

不幸中の幸いか、彼は次の駅で颯爽と降りていった。

あれだけの匂いに気付かないあの軽やかな足取りは、"知らぬが幸せ"の代表かと思わせる。

自分の匂いには気付かないとよく言うが、あの生臭さはもしかしたら・・・

いずれにしても、今回の件から常軌を逸した偉人というものは、私の理解の範疇外にあるようだ。

そういうものに・・・私はなりたくない。
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by mitsuhi-low | 2008-10-07 23:37 | 超偉人伝説

超偉人伝説①~"しなる"男~




彼との出会いは突然でした。

それは遠い昔、僕の高校時代。

当時、通学のために使用していたJR東北線の車内で出会いました。





いつものように宇都宮駅から、帰宅する電車に乗り込み、20分ほどある出発時間を待っていた時のこと。

彗星の如く"彼"が現れたのでした。

出発時間には大分余裕のある車内に、勢い良く飛び込んできたのです。

駆け込み乗車でもないのに、その勢いと言ったらまさに彗星。

"彗星の如く"というのは、適切な表現ではなかったかしれません。

彼は彗星そのものです。

さらには、彼に彗星と言う地位を確固たるものにしていたもう1つの理由があったのです。

その誰よりも目立つ風貌のことです。





小学校の頃にこんなことを習いました。

『人は見た目で判断してはいけない。』

しかし、常軌を逸した彼の風貌は、この周知の倫理観を超越してしまったのです。





年は26,7歳くらい。

年齢の割に、髪の薄さの際立つ頭部、そしてオタク眼鏡。

そう、今では世間一般に一種の人種体系として広く認められたアキバ系の先駆者のような風貌だったのです。

当時アキバ系と。言うものの存在すら知らなかった高校生4人にとっては、衝撃的な風貌でした。




同乗していた3人の仲間達と、その姿を見るや否や、全員が同じ気持ちを抱きました。


"非常に怪しい。"と。


そして4人の厳正な審査の結果、彼に名前を与えました。




それは、


『せっきん』です。


"せっきん"とは、当時の野球部のメンバーの名前を取ったもの。

関君こと、せっきん。

同乗していた仲間達は全員が野球部であったため、審査の結果、どういうわけかそう決まってしまったのです。

最初は見た目が似ているから、と言う安易な理由からのネーミングでしたが、よくよく見てみると全く似ていません。

若さとは、酷なものです。

このことは今でも良心の呵責にさいなまれていまして。

この場を借りて、実際のせっきんにお詫びを申し上げます。




おっと、話が少し反れました。

本題に入りましょう。

その怪しい"せっきん"ですが、僕達の見解では、


"今年で浪人8年目"


と踏みました。

彼から漂う哀愁は、そんなイメージを自然と浮かばせてくれました。

そんな彼に興味津々の高校生4人組。

電車が動き出しても、彼から目を離すことが出来ません。

風貌だけならともかく、彼のそわそわしたその動きに目を話すことが出来なかったのです。

きっと若いながらにも、僕らは事件の匂いを感じとっていたのでしょう。





自分の居場所が見つからないせっきんは、しばらく右往左往した後、1つの場所に落ち着くことを決めたようでした。

深い眠りについていた女子高生の前に立つことを決めたのです。





落ち着ける場所を見つけたと思いきや、両手をつり革に捕まり、まだそわそわしているせっきん。

一体どうしたのでしょうか?





と、その時!

事件は突然やってきたのです。





彼は、両手をつり革に捕まったまま体を弓のようにしならせ、眠っている女子高生に接近しているではありませんか!

みなさんもイメージできるでしょうか?

①電車のつり革に両手でつかまる。電車は横並びシートタイプ。

②体を前屈姿勢にしならせ、座って寝ている女子高生に接近。

せっきんだけに接近です。





これは世間一般に言う痴漢というものなのでしょうか?

あまりの大胆な彼の行動に、我々はただただ呆気に取られるばかり。

しかし肝心の被害者の女子高生は眠りから覚める様子はありません。

これは触れてはいないから痴漢ではないのでしょうか?

被害者が気付いていないから痴漢ではないのでしょうか?

よく見ると、揺れに乗じて体を前屈してるだけと言えば、そう言えなくもありません。

巧妙で姑息な犯行。

8浪と言えども、侮れない。

人は見かけによらない。





しかし、ここである1つの矛盾に気付いてしまったのです。

彼は電車の進行方向に対して、体の側面を向けてつり革に捕まっています。

そして揺れに乗じていると思われた彼の前屈運動は、電車の進行方向とは垂直方向。

つまりですね、彼の動きはよく観察してみると揺れに乗じているわけではないのです。

これは物理学に全く縁のない僕から見ても明らかです。

揺れに乗じてると見せかけた、計画的犯行だったのです。





しかし、そんな計画的犯行を見事に揺れに乗じた偶然に見せかけているせっきんの滑稽な犯行的行動は、

驚きを通り越して、微笑ましくもありました。



"そりゃあ、8浪もするよな。"



その場にいた全員がこう思ったことでしょう。





そんな8浪のせっきんは、そろそろ大学に受かったでしょうか?

あの事件が起きてから、今年で6年になります。
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by mitsuhi-low | 2006-10-24 01:40 | 超偉人伝説

超偉人伝説~序章~


人間観察には自信があります。

正直に言うと、趣味です。

良く言えば、ある人の特徴を見出す能力に長けている。

悪く言えば、ある人のあら捜しをする能力に長けている。

どちらにせよ、赤の他人を自分の実験のサンプルとして観察し、1人で楽しむその世界は、

陰険な趣味である事には間違いないようです。





この趣味の世界を発揮する、最も華やかな舞台と言えば、電車の中でしょう。

サンプル数が多いという点では、電車の中より渋谷のスクランブル交差点のほうがはるかに優れた舞台であろうとは思いますが、

残念ながら自分には、流れるような人混みの中から目的のサンプルを見出すといった優れた能力は持ち併せていません。

最も華やかな舞台を電車の中とする結論に至ったのは、確固たる理由があるのです。

①車内=閉鎖的な環境下

②駅間=規定の観察時間

③公共交通機関内=観察対象の多様化と、対象の位置固定化

上記の3つの条件が揃って初めて自分の能力を最大限に発揮し、喜びに至ることができるからなのです。





幸運にも、今までの自分の人生の大半は電車を利用する機会に恵まれていました。

栃木の最北端の地と言う僻地で生まれ、中学の頃から片道1時間をかけて電車通学をするようになりました。

高校卒業まで、実に6年間もの間です。

さらに、小学校の頃では、週2回、これまた片道1時間の電車で塾通い。

そして、浪人時代は都の西端から都心へと電車に乗ってフリマ巡りを勤しむ日々。

つまりは、今までの自分の人生にとって、電車は切っても切り離せない1要素なのです。





こう自分の人生を振り返ってみて、電車を使わざるを得ないような状況自体が、

この陰険な悪趣味を覚醒させる原因になっていたのかもしれません。

そして恵まれた環境下で、あれほど多くの偉人たちと出会ってしまっては、この覚醒は必然と言っても過言ではないでしょう。

幸か不幸か、この趣味の覚醒は退屈な電車通学に一輪の華を添えることにはなりました。






今回、自分のそのような悪趣味を覚醒させてしまった偉人たち、つまりは一風変わった人々を、

自分の胸のうちに秘めておくのは宝の持ち腐れであると思い、筆をとることにしました。

今までの人生で集めたサンプル(偉人たち)をこのblogにて定期的に紹介していきます。

カテゴリも作りました

"超偉人伝説"です。

ノンフィクションです。

みなさんもこの超絶体験をご堪能下さいませ。

乞うご期待!
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by mitsuhi-low | 2006-10-15 23:24 | 超偉人伝説